当院ではニキビ患者さんが多く、胸やクビのニキビ相談を受けることもあります。
頚（クビ）から胸にかけては皮膚が薄く、強い軟膏を使うと赤みが強く出ることがあり、お顔に使うようなトレチノイン酸軟膏は使うことができません。最近、保険で処方可能になったディフェリンも同様で、クビや胸に塗ると赤みが強く出て、かぶれたように見えます。
ですから、胸やクビのニキビ治療はトレチノイド（ニキビに効果的なビタミンＡ）を使わないのが原則となります。
胸やクビのニキビには、まず石けんをボディーソープから固形石けんやピーリング石けんに変更して頂きます。ボディーソープは確かに肌には優しいのですが、少し抗菌力が弱いところがあります。
次に化粧水としてビタミンＣを含むものを使って頂きますが、以前のブロクにも書きましたように、どんなビタミンＣでも良いわけではなく、皮膚への吸収率が高く、吸収されてから本当のビタミンＣに変換される変換率の良いものを使います。
併用として抗生物質軟膏やゲルの使用は効果的です。最後に保湿をする必要があるので、夏でもしっかりクリームを使ってください。
胸やクビには原則トレチノイドを使わないと書きましたが、化粧品に含まれるトレチノイドの中には、皮膚への反応が強いトレチノイン酸ほど、皮が捲れたり赤くなったりしないトレチノイドもあります。
たとえば、エンビロンの製品に含まれているパルミチン酸レチノールは、私たちが薬の成分として使っているトレチノイン酸に比べると、刺激がはるかに少ないので、胸やクビのニキビにも使える可能性が高いです。
ビタミンＣの化粧水の代わりとして、パルミチン酸レチノールを含む製品を、胸やクビのニキビに使ってみるのもよいかと思います。
たとえ、刺激が少ないパルミチン酸レチノールでも敏感な肌の人ではトレチノイン酸と同じように、角質が捲れたり赤みが強く出たりすることがありますので、必ず医師の指導の元でご使用下さい。
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